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INFERTILITY

不妊症

妊娠に至らない背景を、丁寧に調べる。

妊娠に至らない背景には、排卵・卵管・子宮・精子など、さまざまな要因が関係します。まずは原因を調べ、必要な治療と身体のケアを考えることが大切です。

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不妊症はなぜ起こるのか

妊娠が成立するには、卵子が育ち排卵されること、精子と卵子が出会うこと、受精卵が子宮へ移動して着床することなど、複数の過程が必要です。どこか一つに問題があっても妊娠しにくくなることがあります。

01 / OVULATION

排卵の問題

排卵が起こらない、あるいは不規則になる状態です。多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、甲状腺機能の異常、体重の大きな変化、過度な運動などが関係することがあります。

02 / FALLOPIAN TUBES

卵管の問題

卵管が詰まったり、周囲に癒着が起きたりすると、精子と卵子が出会いにくくなります。過去の骨盤内感染症や手術、子宮内膜症などが背景にある場合があります。

03 / UTERUS

子宮の問題

子宮内膜ポリープ、子宮筋腫の位置や大きさ、子宮内の癒着、先天的な形の違いなどが、着床や妊娠の維持に影響する場合があります。すべての筋腫が不妊の原因になるわけではありません。

04 / ENDOMETRIOSIS

子宮内膜症

骨盤内の炎症や癒着、卵巣の機能への影響などを通じて妊娠しにくさに関係することがあります。強い月経痛や性交痛を伴う場合もあります。

05 / MALE FACTORS

精子に関わる問題

精子の数・運動性・形態などの問題や、精子が運ばれる経路の障害が関係します。不妊症は女性だけの問題ではなく、男女双方の評価が重要です。

06 / AGE

年齢に伴う変化

女性では年齢とともに卵子の数や質が変化し、妊娠率が低下します。男性側も加齢による影響を受けますが、その現れ方には個人差があります。

07 / UNEXPLAINED

原因不明の不妊

基本的な検査で明確な異常が見つからない場合もあります。ただし「原因が存在しない」と確定したわけではなく、現在の検査で把握しきれない要因も考えられます。

08 / GENERAL HEALTH

生活・全身状態

喫煙、過度の飲酒、肥満や低体重、慢性疾患などは生殖機能に影響する場合があります。一方、ストレスだけを不妊の原因と決めつけることはできません。

不妊症は一般に、避妊せず妊娠を希望して約1年間妊娠に至らない状態を指します。ただし、35歳以上では約6か月を目安に早めの相談が勧められ、40歳以上や明らかなリスクがある場合は、より早期の評価が適切です。
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不妊症で確認したいこと

不妊症の評価は、女性側と男性側を同時に進めることが基本です。月経の有無だけでなく、妊娠に必要な各段階を確認します。

月経・排卵の状態

月経周期、基礎体温の記録、必要に応じたホルモン検査や超音波検査などで、排卵の状態を評価します。規則的な月経でも必ずしもすべての問題を除外できません。

卵管・子宮の状態

超音波検査、子宮卵管造影検査などで、子宮内の病変や卵管の通過性を調べます。必要な検査は症状や既往歴によって異なります。

卵巣予備能

AMH(抗ミュラー管ホルモン)や胞状卵胞数などは、主に卵巣刺激への反応を予測する手がかりです。AMHだけで自然妊娠できるかどうかは判断できません。

精液検査

精子の数・運動性などを確認します。結果は体調や採取条件でも変動するため、必要に応じて再検査や男性不妊の専門評価を行います。

既往歴・服薬・生活

子宮内膜症、骨盤内感染症、手術歴、甲状腺疾患、服薬、喫煙などを確認します。男性側の既往歴や服薬も重要です。

妊娠を希望する時期

年齢、妊娠を希望している期間、これまでの治療歴を踏まえて、検査や治療を先延ばしにしない計画を立てます。

月経がない・極端に不規則、強い月経痛がある、骨盤内感染症や手術歴がある、男性側の問題が疑われるなどの場合は、1年を待たずに婦人科・生殖医療の専門機関へ相談することが大切です。
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現代医学で行われる不妊治療

治療は一律に段階を踏むものではありません。原因、年齢、妊娠希望の時期、これまでの治療経過を踏まえて選択されます。

原因に応じた治療

排卵障害には排卵誘発、甲状腺疾患にはその治療、子宮内の病変には必要に応じた処置など、原因に直接対応する方法を検討します。

タイミング法

排卵時期を推定し、妊娠しやすい時期に性交のタイミングを合わせます。排卵の評価や必要な薬物療法と組み合わせる場合もあります。

人工授精(IUI)

洗浄・調整した精子を排卵時期に合わせて子宮内へ注入する方法です。卵管の状態や精液所見などによって適応が変わります。

体外受精(IVF)・顕微授精(ICSI)

卵子を採取して体外で受精させ、胚を子宮へ戻します。顕微授精は精子を卵子へ直接注入する方法です。卵管の障害、男性因子、年齢などを踏まえて検討されます。

治療を進める際に大切なこと

妊娠率や治療負担は年齢や病態によって大きく異なります。身体的・精神的・経済的な負担を含め、専門医と相談しながら治療計画を決めていきます。鍼灸などの補完的なケアを希望する場合も、生殖医療を遅らせないことが重要です。

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東洋医学から考える不妊症

東洋医学では、妊娠に関わる働きを「腎精」「天癸(てんき)」「衝脈・任脈」「気血」などの概念から捉えます。腎は生殖や成長の基盤、衝脈・任脈は月経や胞宮(子宮)に関わる経脈とされ、肝の疏泄や脾の運化も重要と考えます。

※東洋医学でいう「脾(ひ)」は、飲食物から気血を生み出し、全身に栄養を巡らせる働きなどを担う概念です。現代医学でいう臓器としての「脾臓」とは異なります。

東洋医学の基本的な考え方
腎精が生殖の基盤を支える → 天癸の充実と衝任の調和 → 気血が胞宮を養う → 月経・妊娠に関わる働きが保たれる、と説明します。これは伝統医学の病理モデルであり、現代医学の排卵・受精・着床を直接測定するものではありません。

代表的な証と、その成り立ち

01 / 腎の精

腎精不足(じんせいぶそく)

腎に蔵される精が不足すると、天癸や衝任を十分に養えず、生殖に関わる働きが弱まると考えます。月経の遅れ、腰膝のだるさ、耳鳴りなどを伴う場合があります。

02 / 陽の不足

腎陽虚(じんようきょ)

腎陽の温煦・気化作用が不足すると、胞宮を温める働きが弱まり、冷えを伴う月経異常などにつながると説明します。冷え、疲労、腰の冷え、頻尿などを手がかりにします。

03 / 陰の不足

腎陰虚(じんいんきょ)

腎陰が不足すると、精血を養う働きが弱まり、陰が陽を制御できず虚熱が現れると考えます。ほてり、寝汗、口の乾燥、月経の変化などがみられる場合があります。

04 / 気機の停滞

肝鬱気滞(かんうつきたい)

肝の疏泄が失調すると、気機が停滞し、衝任や血の巡りにも影響すると考えます。月経前の張り、胸脇部の不快感、気分の変動などが特徴とされます。

05 / 血行の停滞

瘀血阻滞(おけつそたい)

気滞や寒などを背景に血の運行が滞り、胞宮・衝任の働きが妨げられると考えます。固定した下腹部痛、血塊を伴う月経などを手がかりにします。

06 / 気血の不足

脾気虚・気血両虚(ひききょ・きけつりょうきょ)

脾の運化が弱まると、飲食物から気血を生み出す働きが不足し、胞宮を養う力が弱まると説明します。疲労、食欲低下、軟便、顔色の変化などを伴うことがあります。

07 / 水湿の停滞

痰湿阻滞(たんしつそたい)

脾の運化失調などで水湿が停滞し、痰湿となって気機や衝任の働きを妨げると考えます。身体の重だるさ、むくみ、帯下の変化などを手がかりにします。

証は一つとは限りません

例えば、腎陽虚と瘀血、肝鬱気滞と脾気虚など、複数の証が重なると考えることもあります。月経周期、痛み、冷え、睡眠、消化状態、舌・脈などを総合して弁証します。

このように東洋医学では、不妊症を一つの状態として一律に捉えるのではなく、身体全体の状態から証を見立てます。医学的な不妊原因の診断とは異なる視点ですが、卵管閉塞や精子の異常などを東洋医学の証だけで判定することはできません。
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不妊症に対する鍼灸治療

鍼灸治療では、04で述べた腎精不足・腎陽虚・腎陰虚・肝鬱気滞・瘀血阻滞・気血両虚・痰湿阻滞などの証を、症状や身体の状態から見立て、それぞれに応じて施術を組み立てていきます。

腎虚が中心と考える場合

冷え、ほてり、腰のだるさ、月経の状態などを踏まえ、腎の陰陽・精の不足をどう捉えるかによって、補腎・温陽・滋陰などの治法を検討します。

肝鬱気滞が中心と考える場合

気の巡りの停滞を整える「疏肝理気」を基本に、月経前の張りや緊張、睡眠などの状態も確認しながら施術します。

瘀血が中心と考える場合

下腹部痛や月経の特徴などから瘀血を考えた場合、伝統的な治法である「活血化瘀」を意識して組み立てます。

気血不足・痰湿が中心と考える場合

疲労や消化状態、むくみなどに応じ、健脾益気・養血・化痰祛湿といった治法を検討します。

生殖医療と並行して考える身体のケア

不妊症では、検査や治療が長期に及び、睡眠の乱れ、緊張、痛みなどを抱える方もいます。鍼灸では、こうした個々の症状や身体の状態を整えることも目的とします。施術内容は、自然妊娠を目指している時期、排卵誘発中、採卵・胚移植の前後などによって安全面も含めて調整します。

鍼灸が妊娠率や出生率を確実に高めると断定することはできません。また、卵管閉塞などの器質的な問題を鍼灸で解消できるわけではありません。必要な検査・生殖医療と並行し、担当医の治療方針を尊重して進めることが大切です。
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当院の不妊症に対する治療

当院では、不妊症という一つの診断名だけで治療を決めるのではなく、不妊に至る背景や身体の状態を確認し、それぞれに応じた治療を組み立てていきます。

原因となる疾患や治療状況に合わせて

不妊の原因となる疾患が明らかな場合には、その疾患や現在の治療状況を踏まえて施術を行います。すでに医療機関で不妊治療を受けている方には、医療機関での治療を妨げないよう、鍼灸や色彩療法を補完的に取り入れます。

月経周期や症状の背景を探る

まだ不妊治療を始めていない方には、月経周期、月経に伴う症状、これまでの婦人科疾患などを詳しくお聞きします。そのうえで、症状や身体の変化を引き起こすきっかけとなっているものがないかを探ります。

婦人科だけでなく全身を診る

婦人科の症状には、さまざまな身体の状態が重なって現れることがあります。そのため、婦人科だけに着目せず、全身の状態を確認しながら治療を進めます。

検査で明らかな原因が見つからない場合

明らかな異常が見つからない場合にも、身体全体を丁寧に見直し、改善を目指せる不調がないかを探ることには意味があると考えています。原因を探る色彩療法と、身体が本来の状態へ戻ることを支える鍼灸治療を組み合わせて施術します。

何が身体の状態を変化させているのかを探り、その要因に働きかけながら、身体が戻っていく過程を支える。これが、当院の不妊症に対する治療の基本的な考え方です。

妊娠を目指す期間は、夫婦で身体を整える機会でもあります

不妊症は女性だけの問題ではありません。男性側にもさまざまな要因があり、当院では男性についても、身体全体の状態を確認しながら施術を行います。

また、妊娠を目指すこの時期は、夫婦ともに自分自身の健康状態を見直すよい機会でもあると考えています。

妊娠・出産は一つの大きな節目ですが、その先には育児という新しい生活が待っています。出産後は生活環境が大きく変わり、睡眠不足や疲労など、心身に負担がかかることも少なくありません。

だからこそ、妊娠を目指す今のうちから、夫婦それぞれが抱えている不調や身体の問題に目を向け、健康な状態を目指していくことにも大きな意味があると考えています。

妊娠することだけを目的とするのではなく、その先の家族の生活まで見据えて、夫婦の健康を支えていきたいと考えています。

不妊症の検査や生殖医療が必要な場合には、医療機関での診療を優先・併用します。

不妊症について、ご相談ください

症状の経過や医療機関での診断を大切にしながら、鍼灸が補助的に役立つかを検討します。